地震に強い家
地震に強いコンクリート住宅パルコンは地震の揺れを、コンクリートの床・壁・屋根の面全体で分散・吸収、その結果、建物の変形(ゆがみ)や揺れを最小限に抑えることができます。入念な地盤調査で決める基礎構造、強固な接合技術により強くて歪みが少ないコンクリート住宅が実現します。
コンクリート住宅パルコン(Palcon)の実大振動実験
変位
大地震にも二次災害にも強い、鉄筋コンクリートの家パルコンの壁式構造
地震による揺れを最小限に抑える構造体は、優れた耐震性能によって免震工法・制震工法を必要としません。
変形しながら抵抗する軸組構造に対し、壁式構造は変形を最小限に抑えます。
地震時、建物にはあらゆる方向から力が加わります。特に横方向から加わる力が大きくなる大地震への備えが重要です。木造や鉄骨造の軸組構造は、柱や梁といった線状の構造部材が点で接合された構造体のため、横方向から加わる力に対して大きく変形しながら抵抗します。これに対して、壁式鉄筋コンクリート構造のパルコンは、床・壁・屋根の面全体に力を分散して抵抗し、その結果、建物の変形(ゆがみ)や揺れを最小限に抑えることができます。パルコンと鉄骨軸組構造の住宅に同じ方法で阪神・淡路大震災と同様の力を加えた当社比較シミュレーションでも、両者の違いは明らかでした。鉄骨軸組構造が倒壊する寸前の各階ごとの層間変位の大きさの比較においては、パルコンは鉄骨軸組構造の6分の1以下※という結果であり、また、地震に耐える力は3倍以上※であることが確認されました。
- ※6分の1以下、3倍以上の表記は、当社比較シミュレーションから得られた数値にもとづいており、層間変位や層間変形角の数値にもとづくものではありません。
- ▼地震による負荷の比較イメージ (当社比較シミュレーション)
地震時を想定し、各モデルに重量と比例した力を横方向から加えました。各構造部材が持つ構造耐力に余裕がなくなるにつれて、水色が緑→黄→橙→赤へと変化していきます。
震度6強の大地震にも、中地震以下にも、大きな変形に至らないことが大切です。
「震度5強の中地震で構造体が損傷しない」「震度6強以上の大地震で倒壊しない」ことが建物に求められる耐震性能です。中地震に対して、層間変形角※1200分の1以下で設計され、構造体に損傷が生じない建物でも、地震力が5倍となる大地震では、大きな変形に至ってしまうケースが過去に多数見受けられました。例えば、玄関扉は高さに対して120分の1以上変形すると開閉できない恐れがあります。地震に強いコンクリート住宅パルコンは、中地震での層間変形角が一般建築物より10倍小さい2,000分の1※2と言われており、大地震においても575分の1※3という結果を当社実験で得ています。中地震でも、大地震でも、極めて変形が少なく、建物の損傷もごく軽微なものとなります。また、軸組構造は、頻発する中地震に至らない規模の地震でさえ、ビニールクロスや建具などの内装材への損傷が起きやすく、変形の繰り返しによってその心配は大きくなります。地震に強いコンクリート住宅パルコンは、過去の大地震及び余震を含めて、内装仕上材の貼り替えなどがほとんど必要なかったという実績があります。
- ※1.層間変形角とは、建物に水平力が作用した際の各階床の水平変位の差を階高で除した値です。
- ※2.2,000分の1は、日本建築学会が発行する「壁式構造関係設計規準・同解説」中で規定された値です。
- ※3.575分の1は、3階建のパルコンに対する実大振動実験の結果から得られた値です。
- ▼耐震設計における変形の考え方
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- ▼中地震(震度5強)での許容変形量イメージ(階高2.8mの場合)
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木造軸組構造・鉄骨軸組構造は「建築物の構造関係技術基準解説書(2015年度版) 」、壁式鉄筋コンクリート構造は「壁式構造関係設計基準・同解説」による値で表現しています。
- ▼大地震(震度6強)での玄関扉変形イメージ(扉枠高2mの場合)
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木造軸組構造・鉄骨軸組構造は「建築物の構造関係技術基準解説書(2015年度版) 」による値であり、パルコンは3階建の実大振動実験の結果による値で表現しています。
地震の揺れが増幅される共振現象も、周期の短いパルコンは影響されません。
共振現象とは、建物の固有周期と地震時の地盤の揺れが一致したときに起きる現象です。ブランコに乗った子供の背中を揺れのリズムに合わせて押すと、揺れが大きくなる現象と同じ原理です。共振現象が起こり、揺れる方向が同調し始めると、力は増幅されて予想以上の被害となります。木造住宅では、地震の揺れで構造体が傷むにつれて、建物の固有周期が長くなり(長周期化)ますが、ここにキラーパルスと呼ばれる周期1~2秒程度の揺れが襲いかかると、建物を一気に倒壊にまで至らせる危険があります。地震に強いコンクリート住宅パルコンの固有周期は、地震の揺れの周期よりも短いため、共振現象が起きる心配はまずありません。
- ▼木造住宅の長周期化による共振現象イメージ
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- ▼共振現象による建物の倒壊イメージ
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最大震度7の阪神・淡路大震災は、近代大都市におけるかつて経験のない直下型の大地震であり、大変多くの死者・負傷者を出す未曾有の大惨事となりました。家屋の全半壊は24万棟を超えましたが、地震に強いコンクリート住宅パルコンでは全半壊の被害はゼロ、窓ガラス1枚割れませんでした。
- ▼阪神・淡路大震災でガラス1枚割れなかったパルコン
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基礎
他工法とは比べものにならない、地震に強いコンクリート住宅パルコンの基礎構造
地震に強いコンクリート住宅パルコンは、安心、安全を最優先に考え、最適な判断にもとづいて頑強な基礎を設計します。
建物を支える基礎は何よりも大切だから、入念な地盤調査・敷地調査が重要です。
住宅を建てる際に地盤調査※と敷地調査は欠かせません。パルコンでは、標準的な調査方法として「スウェーデン式サウンディング試験」を実施します。専用の試験機を用いて、重量を加えながらスクリューポイントを土中にねじ込んで貫入抵抗を測定し、地盤の硬軟質や締り具合、土質の種類を調査します。さらに、敷地の周辺データや地歴、過去の物件データなども考慮のうえで総合的に判断します。
- ※地盤の液状化に対する調査は、別途ご用命があった場合に、オプションとして有料にて対応させて頂くことになります。
- ▼スウェーデン式サウンディング試験(機械式の例)
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調査結果から決定した最適な工法で、多種多様な地盤に適切に対応します。
地盤調査・敷地調査で得られた調査結果にもとづき、個々の地盤状況や立地条件及び建物計画に合わせて、多種多様な工法の中から最もふさわしい地盤対策並びに基礎形状を決定していきます。
▼さまざまな基礎改良工事
- A 直接基礎 ベタ基礎
- 浅いレベルで地盤が安定している場合に採用することができる標準的な工法
- B 表層改良工法
- セメント系固化材料と土壌をパワーショベルで混ぜ合わせ、地盤を硬くする工法
- C RES-P工法
- 細径鋼管パイプ(直径48.6mm・間隔65cm以下)を貫入し、地盤とパイプの複合作用で地盤を補強する工法
- D 柱状改良工法※1
- セメントミルクと土を混合し、土中を柱状(直径約40cm~60cm程度)に改良して支持する工法
- E 杭工法 鋼管杭※2
- 固い支持層まで、鋼管製の杭(直径約10cm~20cm程度)を打ち込んで支持する工法
- ※1.柱状に改良した中央部に、直径約10cm程度の鋼管を挿入する場合もあります。
- ※2.支持杭には鋼管杭の他にPC杭があり、太さや形状にもバリエーションがあります。
地域の特性や敷地の条件を考慮し、ベタ基礎と布基礎を設定しています。
鉄筋コンクリート住宅パルコンでは、一般的な地域では主にベタ基礎を採用。傾斜地や寒冷地では高低差や凍結深度を考慮し、布基礎を適宜採用します。
ベタ基礎※は基礎底盤全体で、布基礎は他工法より幅の広いベースで、広範囲の地盤に分散して力を伝え、建物を支えます。また、いずれの基礎も床下全面をコンクリートで覆うため、地面からの湿気の上昇も抑えられます。
- ※ベタ基礎は、立ち上がりの標準幅24cm、基礎底盤の標準厚さ30cmとなります。
- ▼ベタ基礎断面イメージ
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液状化対策における必要条件は、しっかりとした基礎と上部構造です。
東日本大震災では、砂質地盤で地下水位が高い埋立地において、液状化現象により住まいが傾いてしまう被害が多発しました。液状化対策には様々な方法がありますが、まずはしっかりとした基礎と上部構造が必要条件です。液状化の予測には、古地図や液状化履歴の調査と、「スウェーデン式サウンディング試験」に加えて、敷地への試験機の搬入が容易で、海外でも主流となっている「三成分コーン貫入試験※」が有効です。これらの調査をもとに、地盤や立地、建物の条件に応じた最適な対策をご提案します。
- ※三成分コーン貫入試験は、先端抵抗・間隙水圧・周面摩擦抵抗の三つの成分を調査し、地盤の性状などを推定します。なお、地域によっては、調査費用に加えて遠隔地対応費用が必要となる場合があります。
- ▼三成分コーン貫入試験
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接合
強靭な鉄筋コンクリート住宅を生み出す地震に強いコンクリート住宅パルコンの接合技術
高層ビルにも用いられる強固な接合技術が、大切な生命や貴重な建物の資産価値を守ります。
圧縮力にも引張力にも強いから、鉄筋コンクリート住宅は強靭なのです。
鉄筋の周りをコンクリートで固めて一体化した鉄筋コンクリートは、お互いの良さを最大限に引き出す理想の組み合わせです。コンクリートは、縮めようとする力(圧縮力)には強い反面、伸ばそうとする力(引張力)には弱いという性質があります。一方で、鉄筋は引張力に強さを発揮し、さらにこのふたつの素材は温度変化による膨張率や収縮率がほぼ同じなので、一体性が損なわれることなく、永年にわたって強度が保たれます。また、アルカリ性のコンクリートが鉄筋を包むことで、錆びの発生が抑えられます。だから、鉄筋コンクリートの家パルコンは、寿命の長い強固な住宅となるのです。
- ※地盤の液状化に対する調査は、別途ご用命があった場合に、オプションとして有料にて対応させて頂くことになります。
- ▼鉄筋コンクリート部材に荷重がかかった状態のイメージ
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コンクリートパネルを強固に一体化、驚くほど強靭な六面体の構造体です。
床・壁・屋根のコンクリートパネル、及び基礎を垂直に繋ぐ接合部に採用する「一体化スリーブ工法」は、高層ビルや一般建築にも使われている信頼性の高い接合方法です。破壊試験(引張試験)では、鉄筋部分が破壊されても継手部分は破壊されないことが実証されています。つまり、継手があるにも関わらず、継手の無い一本の鉄筋で繋がっているのと同じ状態を作り出しているのです。一方、床パネル相互間の接合部には、シンプルな「「床一体化コッター接合※1」を採用。この接合が用いられた建築物は、過去の大地震でも一体化が損なわれた例はありません。各接合部には、セメントを主成分とする無収縮モルタル(グラウト)を充填し、極めて強固な接合部※2を実現しています。
- ※1.壁パネル相互間の接合部にも、一部に「壁一体化コッター接合」を用いる場合があります。
- ※2.「現場無溶接工法」としてグッドデザイン賞を受賞しています。
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- ▼壁パネル脚部の継手部分
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<スプライススリーブ採用実績>
恵比寿ガーデンプレイス、大川端リバーシティなど
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- ▼壁パネル頂部の継手部分
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<FDグリップ採用実績>
横浜ベイブリッジ・瀬戸大橋・恵比寿ガーデンプレイスなど
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- ▼床一体化コッター接合
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- ※写真はグラウト充鎮後のイメージです。
鉄骨造などのボルト接合とは異なり、大小の揺れにも緩まない接合部です。
鉄骨造の建物における接合部には、主にボルト接合が用いられていますが、ボルト周りを固めるものが無いため、年月が経つうちに緩んでしまう危険性があります。この地震大国の日本において、大地震・中地震に耐え抜き、かつ、地震発生数の97%を占めて頻発する震度3以下の小さな地震に対しても、壁式鉄筋コンクリート構造のパルコンの接合部なら、ダメージを蓄積して緩んでしまう心配はありません。
- ▼構造体断面イメージ
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コンクリートパネルのうち、壁パネルは標準厚さ14cm(必要に応じてさらに厚いパワーウォール)、床パネル・屋根パネルは標準厚さ15cm(必要に応じてさらに厚いワイドスラブ)となっています。